トヨタ生産方式
- 作者: 大野耐一
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1978/05
- メディア: ?行本-精装
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トヨタ生産方式、名前は良く聞くけどちゃんと学んだことなかったので読んだ。
トヨタ生産方式の現場を見た後輩が、 「トヨタ生産方式って、褒めちゃダメなんですって。褒めると改善が進まないから。だからあんな感じなんですね・・・」 と言ってた。トヨタ生産方式についてはほとんど知らないが、そんなバカなことは無いだろう、と思った。
良いモノは良いと認めた上で、さらなる改善を、ならわかるが、否定しかしないことがトヨタ生産方式であるなら、そんなブラックなものがこんな持ち上げられるはずがない、と思ったからである。 それがトヨタ生産方式であるというのであれば、どれだけ生産性を上げるものだとしても、人をロボットや歯車とする考えなら軽蔑する。
この本を読んで、そのような考えは間違いだとわかった。しかし、作業者のマインドについてはそこまでフォーカスされていないため、100%否定できるものでもなかったかもしれない。
とりあえず、大野さんの熱さは伝わった。佐吉さん、喜一郎さんの凄さも。 これが明治から続く物語だということに、感動した。 XPやScrumが参考にしているんだということがわかった。
逆に言うと、数十年も前から言われていることが、やっとIT系にも知られてきた、ということだろうか。
物語としても、とても面白い。
トヨタ生産方式
まえがき
- イメージさえ生じがたいようにと思って「かんばん」「ニンベンのある自動化」とかを実践し、強調していった
- 下請けイジメとは相容れない
本書に寄せて
- 人間性の向上と総合的な効率の両立を目指して
第一章 ニーズからの出発
1 ニーズからの出発
- オイルショックで目が覚めた
- 成長率が低くなるとアメリカ式の計画的な量産方式ではやっていけなくなる
- 多種少量で安くつくる
- 日本人でなければ開発できないことではないか
- 大量生産方式をも凌駕できるはず
- 「低成長」は恐い
- 「多々ますます弁ず」の考え方を一刻も早く払拭しないければならない
- 「アメリカに追いつけ」
- トヨタ生産方式の二本柱
- ジャスト・イン・タイム
- 自働化
- 脱常識をはたらかす
- 後工程引き取りの運搬管理方法
- かんばん
- 機械に人間の知恵を授ける
- ニンベンのある自働化
- 機械に良し悪しの判断をさせる装置
- 作業者自身がストップボタンを押してラインを止める
- きちんと再発防止の手が打たれることが不可欠
- 個人技とチーム・プレーの相乗効果
- ジャスト・イン・タイム - チーム・プレー
- 自働化 - 個人技
- 原価低減が目的
- 原価は消費者には関係無い
- コストダウンには奇策はない
- 日本企業の錯覚
- 目標がはっきりしていると人間の行動は活発になる
- 企業も同様
- アメリカ式が日本の風土に合致したかの錯覚をしてきたことに気づかなかった
- 目標がはっきりしていると人間の行動は活発になる
- 生産の流れをつくる
- アメリカでは不可能であっても日本ではやる気があればできた
- 問題がはっきりしてきて、次に進むべき方向がわかった
- 「でかんしょ」生産にまいった!
- 半年を寝て暮らす「でかんしょ節」から
- 平準化生産
- 「月末追い込み生産」をいかに平均化、平準化させることができるか
- 初めにニーズありき
- ニーズのないところで行われる改善は思いつきに終わったり、投資しただけの効果を得られない
- 必要は発明の母
- 多工程持ち
- ニーズとは待っていて生まれるものではない
- 意識革命が不可欠
- つくり過ぎのムダほど恐ろしいものはない
- 買いだめ心理は農耕民族の宿命
- 農耕民族からの脱却
第二章 トヨタ生産方式の展開
2 トヨタ生産方式の展開
- 「なぜ」を五回繰り返すことができるか
- 「なぜ」を自問自答するによって、ものごとの因果関係とかその裏にひそむ本当の原因を突き止めることができる
- データも勿論重視しているが、事実を一番に重視している
- トヨタ式の科学的態度の基本
- ムダの徹底的分析
- 現状の能力 = 仕事 + ムダ
- 作業 = 働き + ムダ
- ムダの摘出
- つくりすぎのムダ
- 手持ちのムダ
- 運搬のムダ
- 加工そのもののムダ
- 在庫のムダ
- 動作のムダ
- 不良をつくるムダ
- 余剰人員の首切りの手段など、そんなケチなものではない
- 余剰人員をはっきりとつかみ、有効活用する
- 私の現場主義
- 誰もが「目でみてわかる」標準作業表でなければならぬ
- アンドン
- 自らの手で標準作業を書いてみよ!
- 標準作業の三要素
- サイクル・タイム
- 作業順序
- 標準手待ち
- サイクル・タイム
- または「タクト」
- 一個あるいは一台を何分何秒でつくらなければならないかという時間
- 生産数量、すなわち必要数と稼働時間によって決定される
- 稼働時間を一日当り必要数で割って算出する
- 三日で一人前にしなさい
- 個人差を吸収できるように「助け合い」ゾーンをつくってある
- 人間の和
- 作業順序
- 時間の流れとともに作業をしていく順序
- 標準手持ち
- 作業をしていくためにこれだけは必要だと工程内の仕掛品
- 機械に取り付いているものも含む
- 作業をしていくためにこれだけは必要だと工程内の仕掛品
- 標準作業の三要素
- チームワークこそすべて
- 少人数のほうが勝つ場合がでてくるのではないか
- 責任制をとったからといって、ただそれだけでうまくいくとも言えないのではないか
- バトンタッチの妙
- 三十八度線を引いてはいかん
- 助け合い運動
- スポーツでも仕事でも、練習に練習を重ねること、訓練に訓練を重ねること
- 体で覚え込む
- 訓練を耐え抜くだけの根性を持つことが勝負に勝つ道
- スーパーマーケットからヒント
- 後工程が同じ部品を一度に大量に引き取るタメに前工程が混乱する
- 「かんばん」とは何か
- 引き取り情報、運搬指示情報、生産指示情報
- 単に「インタイム」ということだけではムダはなくならない
- 生兵法は大怪我のもと
- かんばんはジャストインタイムを達成するための手段で、それを目的としている
- かんばんのルールを厳密に追求することは永遠の課題
- 逆常識を常識化する才気と胆力
- 企業のトップが意識革命をして在来の生産・運搬・納入の流れを逆転させる意思決定を下さなければならない
- 自己流の大野式として長らく暗中模索
- 社内のつくり方を変えずに、外注部品の引き取りだけに「かんばん」を使うと、「かんばん」はたちまち凶器に変わる
- 「流れをつくる」のが基礎条件
- 権限を活用してハッパをかける
- 内部のかんばんでさえ10年以上かかっている
- 徐々にかんばんを浸透させたことがのちのち力強い生産現場を生んだのだと思う
- 山を低く谷を浅く
- 生産の平準化
- トヨタ生産方式は極めて弾力的で多様化という難しい条件を受け入れて消化できる余地、奥行きを備えている
- 変化への融通無碍なる対応力にある
- 「平準化」に挑む
- 段取り替えを頻繁に行わなければならなくなった
- 昭和20年代に2・3時間、昭和40年代には3分
- 努力の産物
- 段取り替えを頻繁に行わなければならなくなった
- 平準化と多様化
- 多様化が進展すると平準化は困難に
- 汎用性を加味した設備の専用化
- 改善を促進する「かんばん」
- 100%良品でなければならない
- 不良を出した工程が痛みを感じるシステム
- 中途半端な「かんばん」導入は百害あって一利なし
- どんな困難をも克服してルールを守る決意が必要
- 100%良品でなければならない
- 台車とコンビを組むかんばん
- かんばんの弾力性
- 企業体に自律神経を
- 現場の自主判断機能
- 情勢によって計画の中身はどんどん変えていかざるを得ない
- 微調整機能を企業の内に備える
- 反射神経を内蔵
- 必要なときに必要な情報を
- 農業マインドとコンピュータマインドの間にある工業マインド
- トヨタ式情報システム
- 順序計画を最終組み立てラインのあたまに、一カ所だけ送ってやればよい
- 前工程に特別の生産計画は不要
- かんばんが生産情報となって前工程へさかのぼる
- つくられるものに情報を背負わせることによって情報過多を防ぐ
- 微調整のはたらき
- 統制経済の下ではかんばんによる生産の微調整などという芸当ができるはずはない
- 変化への対応
- 微調整機能をもっと身に付けていかなければならぬ
- 真の経済性とは何か
- すべての判断の基準は原価低減ができるかどうかで決まる
- まず作業手順をいろいろ変えてみて人間の働きが流れの上に反映できるようなレイアウトをデザインしてみる
- いきなり高性能機械を導入するとつくりすぎのムダを生む
- 再びムダの悪を問う
- トヨタ生産方式は徹底したムダ排除の方式
- ムダが売上に対して数%しかない利益を食いつぶす
- 余力を生み出せ
- 余力を常日頃からはっきりさせておく
- 余力を捻出する改善
- 認識することの意味
- 現場作業を認識する
- ムダ
- 作業をしてく上でなんら必要のないもの
- 作業
- 付加価値のない作業
- 付加価値を高める正味作業
- 作業者の動きを働きにしないといけない
- 100%正味作業が理想
- フルワークシステムで武装
- つくりすぎのムダは他のムダを隠してしまう
- つくりすぎのムダを防止するシステム
- 虚勢は張らない
- 必要数こそオールマイティ
- 兎と亀
- トヨタ生産方式はすべての人間が亀になって初めてできること
- 持続性を持たないスピードアップは無意味
- 年功の設備を大切に
- 設備の価値は使用した年数や型式の古さで決まるものではなくどれだけ稼ぐ力を維持しているかによって決まる
- 現実を直視すれば
- 周辺の協力企業ともども運命共同体になってこそ
- 0.1人も1人である
- 省力化に対して省人化
- 作業改善と設備改善を混同しない
- 少人化
- 離れ小島をつくるな
- 忍術の経営
- ムダとムラとムリを徹頭徹尾除いてきた
- 算術の経営ではいけない。忍術の経営でやるべき。
- あまりにも訓練ということを忘れすぎてはいないか
- 術には行動が必要
- 行動が要求されているのが術
- 儲けるIEの提唱
- 低成長経済に生き抜く
第三章 トヨタ生産方式の系譜
3 トヨタ生産方式の系譜
- 普遍の世界が身近にあった!
- 二人の傑物
- 学ぶべきは佐吉翁のものに対する真摯な態度
- 負けじ魂に学ぶ
- 日本人の絶対の力のみを以て
- 科学性と合理性のトヨタイズム
- 工場はバラックでも良い機械を
- できなくて倒れたら自分の力が足りないのだ。潔く腹を切ったら良いではないか。
- 日本式製造方法の追求
- 価値ある商品つくり
- 必要以上に安く叩かれる事は今までに吾々が買った機械の販売に於いても明らか
- 大局観と詰め
- ものごとを常にリアルに、クールに、そして客観的に見つめ続けた
- ものとの対決によって対象物の本質に迫った
- 佐吉翁は努力の人であると同時に天才を感じさせられる
- 日本のオリジナルを求めて
- 知能による挑戦
- 基礎産業を確立するにはそれのベースになる学術の世界をがっちり固めなければいけない
- 産学の共同も大いにしたいと強く望んでいた
- 何事も基礎を大切にした人
- 弁証法的な発展をみる
- 本当のイノベーション、真の技術革新は社会変革をなんらかの形でもたらす
第四章 フォードシステムの真意
4 フォードシステムの真意
- フォード式とトヨタ式
- ロットは小さく、段取り替えをすみやかに
- 一個流しの同期化生産
- すみやかな段取り替えはトヨタ生産方式を実施するにあたって絶対の要件である
- ヘンリーフォード一世の先見性
- 標準とは自らつくり出すもの
- 標準作業の標準とはなにか
- 企業トップの概念としてとらえておかなければならない
- 標準のためにものをつくることで満足するようになり人間の能力も鋭くなるどころかかえって鈍くなる
- 標準を設定する人間は生産現場の当事者がせよ
- 標準作業の標準とはなにか
- 治療より予防
- フォードの後にフォード無し
- 逆転の発想と起業家精神
- 現状に甘んじているところからは一片の進歩たりとも生まれてこない
- 量とスピードからの脱却
- 効率とはけっして量とスピードの関数ではない
- トヨタ生産方式は、量とスピードを追求する余り、いたずらにロスを生み出してしまうマスプロダクションとマスセールスへのアンチテーゼ
第五章 低成長時代を生き抜く
5 低成長時代を生き抜く
- 高成長のなかで育てたシステム
- 原価低減のための工数低減
- ロボットを使うとか、オートメーション設備を導入することによって工数さえ減らすことができれば原価低減が達成できるという勘違い
- 低成長時代に生産性をあげるには
- 定員制の打破
- 少人化
- 量の少ないところで苦労して知恵を出すことをしたがらない
- 定員制の打破
- 古人の柔軟な頭に学ぶ
- いまの情報化時代に生きるには表面を流れる情報の渦に巻き込まれることなく、とうとうと底流を流れる情報の本質に迫ることが大事